Hello! Project 2020 Summer COVERS ~The Ballad~ @札幌文化芸術劇場hitaru B・C公演 感想

今回は夏のハロコン札幌公演の感想です。

 

メンバーがそれぞれソロでJ-POPを中心としたバラード曲のカバーを歌う今夏のハロコンは、ハロプロ全メンバーをA・B・Cの3チームに分けた3パターンで行われています。札幌ではB・Cチームによる公演が行われましたが、その中で特に印象的だったメンバーの感想を書いていきます。

 

 

歌唱順・歌唱楽曲

B公演

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C公演

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尚、歌唱順を決めるスクラッチの様子はこちらで公開されています。

B公演個別評

2. 北川莉央 / ありがとう (いきものがかかり)

2公演通してのMVPを決めるとしたら北川さんです。発表順2番目にしていきなりの衝撃で、とても去年加入したばかりとは思えない歌を聴かせてくれました。1番投手・大谷翔平が1回表の初球にホームランをかっ飛ばしたような衝撃です。

 

B公演の面白さの1つは、北川さん・伊勢さんの一般加入組の歌唱力の高さが確認出来ることにあります。ソロフェスも一応見たことは見たのですが、あれは映像ですからあくまで参考記録です。2人とも研修生を経験しておらず、特に北川さんはまだ単独ツアーは1度周ったのみ、しかもそのツアーも歌割はほぼなかったと記憶しています。そういう意味ではBEYOOOOONDSの研修生上がりのメンバーより余程経験値は少ない訳ですが、そんな経験値の少なさを補って余りある歌の才能があること見せつけてくれました。勿論、充実したパフォーマンスの影には北川さん自身の努力もあるとは思いますが。

 

実を言うと、北川さんの歌をまともに聴いたのは今回が初めてだったのですが、程よい声量で、尽く音が的確に出て来るので、聴いてて非常に心地が良いです。表面上は静かに見ていましたが、ハートは一気に熱くなり、感動し、「これだこれ!想定を大きく上回る意外な大発見を体感出来るのが現場の醍醐味だ!」と久しぶりの感覚を味わわせていただきました。

 

7. 稲場愛香 / 明日への扉 (I WISH)

地元札幌での公演ですから、相当気合入ってましたね。ただ、その十分な気合がパフォーマンスの固さに繋がっていた部分はあって、肩の力を抜いて歌うことが出来たらもっとパフォーマンスの完成度は充実させられたとは思いますし、私は見られていませんが稲場さんなら他の場所ではこの日よりもっと完成度の高いパフォーマンスを見せてくれていたはずです。

 

ですが、今回のハロコンはメンバーそれぞれが課題として与えられているであろう1曲に挑戦することで発せられる情熱や緊張感などのドラマが感じられることが最大の醍醐味であって、全国各地を周るツアーにおいて地元で気合が入り過ぎてパフォーマンスが固くなってしまった公演があったことは挑戦の過程で生まれるドラマ性を際立たせてくれます。今回の札幌公演は稲場さんにとって稲場愛香の『明日への扉』を完成形に近付けるための登竜門だった訳で、まさに今『明日への扉』を開こうとしているのです。稲場さんは今回の札幌公演を経て次回の福岡公演では稲場愛香流の『明日への扉』の完成形を見せてくれることでしょう。

 

13. 伊勢鈴蘭 / 三日月 (絢香)

伊勢さんに関しては、ハロコンに参加されていた皆さんからすこぶる好評でしたので、少し構えて見てしまった部分はありますが、そんなハードルを軽く超えてしまう充実のパフォーマンスを見せてくれました。

 

北川さんと同じく声量・音程ともに終始安定しており、これは皆さんがべた褒めするのも当然です。初日からこれだけの完成度だったのか分かりませんが、私の目には完璧に近い出来栄えだったように見えます。前日のブログで地元札幌のおすすめスポットを紹介するなど、地元公演に対する特別な意気込みも見せていたので、その気合を上手く自分のパフォーマンスの力に変えられたのでしょう。

 

北川さんと伊勢さんのポテンシャルは凄まじく、アップフロントはオーディションからダイヤの原石を発掘するのが上手いですね。流石に20年以上の歴史を重ねているだけあります。約5年前に上國料さんがアンジュルムに一般加入してから数年間はオーディションを開催しても該当者なしが続き、一般加入が滞っていましたが、ここに来て研修生からの昇格とオーディションを経ての一般加入をバランス良く組み合わせていますね。研修活動を通して下積みを経験した方が良い娘もいれば、早いうちに輝かしい景色を見せたり経験豊富な先輩たちの中で揉ませた方が良い娘もいるので、その娘の個性に合った判断を的確に下しているのでしょう。

 

17. 金澤朋子 / Jupiter (平原綾香)

今回のハロコンの醍醐味の1つは、高いハードルを課されている実力者が真正面がぶつかって行くことで生まれるドラマ性にあって、Bチームだと上國料さんや佐藤さん、高木さん、そして金澤さんです。

 

特に金澤さんが歌っている『Jupiter』は超が付くほどの難曲で、普段は余裕を感じさせるパフォーマンスをしている金澤さんがもがきながらこの難曲にぶつかって行く姿は新鮮に映りました。それでも流石の完成度の高さで、いくら歌の上手な娘が多いハロメンの中でも、これだけ幅の広い音域が要求される『Jupiter』をここまで歌いこなすことが出来るメンバーはそういないでしょう。流石ハロプロ屈指の歌姫です。

 

C公演個別評

1. 清野桃々姫 / 香水 (瑛人)

伊勢さんと同様に、事前情報で清野さんの評判も良かったので実際にお目にかかるのを楽しみにしていました。やはり噂に違わぬ歌の上手さで私の目には完璧な出来に見えました。普段のブログで日々「今日の目覚まし音」として様々な楽曲を紹介していたり、「お家でもびよんず学校」ではヒューマンビートボックスTalk Box を披露していたりと、音楽に対する知見や興味の幅も広いですし、元々持ち合わせている音楽の才能もあるでしょうが、若くしてここまでの高い音楽の技術を身に付けている最大の要因は不断の努力と言うべきでしょう。

 

清野さんに限らず、B・C公演を通して見てBEYOOOOONDS勢の強さが印象に残り、全く先輩たちに引けをとっていない完成度の高さを感じました。考えてみると、研修生から昇格したBEYOOOOONDSメンバーはかつて研修生時代の実力診断テストでBP賞或いは何かしらの賞を獲得してきた娘が多く、精鋭揃いと表現して差し支えないでしょう。そういう意味では今回のハロコンのようにソロでの1曲勝負の舞台に強いのも納得で、純粋にスキルが充実していることに加え、自分の出番までのメンタルコントロールが上手い点もあるかもしれません。

 

同じCチームの山﨑夢羽さんも相当歌が上手でしたし、個の力が強いBEYOOOOONDSではお互いに刺激を与えあう土壌があり、今後更なるスキルの相乗効果が見込まれますので、BEYOOOOONDSが今後どんな成長曲線を描くのか楽しみですね。

 

6. 工藤由愛 / さよなら 大好きな人 (花*花)

個人的に工藤由愛さんは北研初期メンの中で最もスキルが上達した娘だと思っていて、最初は声量こそ出ていましたが音程のブレが目立つことが多く、言ってみれば球の速いコントロールの悪い投手のようでした。それが2018年の夏、まだ名前のなかった現在のBEYOOOOONDSの面々をゲストに招いて行われた北研定期公演辺りから目に見えて声がコントロール出来るようになり、2019年の実力診断テスト直前の北研定期公演で見違えるような歌を聴かせてくれるようになったことを覚えています。

 

ソロ歌唱においては、2019年実力診断テストの『ROCKエロティック』の力強い歌が印象深い工藤さんですが、今回披露したしっとり聴かせるタイプの『さよなら 大好きな人』も楽曲の世界観を表現できていました。山﨑愛生さんも同様ですが、普段のキャラを封じて楽曲の世界観をガチンコでパフォーマンスする姿が最高に格好良かったですね。

 

やっぱり工藤さんや山﨑愛生さん、稲場さんがパフォーマンスする姿を見ると北研定期公演が恋しくなりますね。北研定期公演の魅力は濃いキャラによる緩いMCとガチンコのパフォーマンスのギャップです。これは研修生発表会の空気感とも少し違いますが、こればかりは実際に入ってみないと伝わりにくいかもしれません。

 

スキル怪物揃いのJ=Jに加入した工藤さんの魅力は更に増して行くことでしょう。その成長を楽しみに見させていただこうかと思います。

 

最後に

個人的に印象的だったメンバーについて書きましたが、本当に皆さんが素晴らしい歌を聴かせてくれました。それぞれが与えられた1曲に対して真摯に向き合い、挑戦する過程の中で生まれる情熱や緊張感が味わえるのが今回のハロコン最大の醍醐味だったなと実感しています。

 

個別には書きませんでしたが、上國料さんや佐藤さん、小田さんが新境地を開拓すべく難曲に真正面からぶつかって行く姿や、涙を浮かべてラストを務めた里吉さん、浅倉さんや岸本さんが全身を使って表現する本気度など、1人1人が1曲にかける想いが感じられる感動的で極上なショーでした。やっぱりハロプロは素晴らしい!